2012.02.01

The Murder at the Vicarage
(Miss Marple Mysteries)


The Murder at the Vicarage
(68,849語 YL:8.5)

穏やかなSt.Mary Mead村で殺人事件が発生。牧師館でProtheroe大佐が射殺体で発見された。誰からも嫌われていたProtheroe大佐を殺害するのに十分な動機を持つ者は村中にたくさんいるように思われた。そんな中、犯行に使われた拳銃の持ち主である、芸術家のLawrenceが警察に出頭し自首した。事件は解決したかに見えたが、今度はProtheroe大佐の再婚相手であるAnne Protheroeが、自分の犯行であると言いだした。複雑に絡み合う陰謀とアリバイの中、Miss Marpleの推理の結末は…?

ご存じ、アガサ・クリスティーによるMiss Marpleの初登場作品です。平穏な村が殺人事件という非日常な出来事によって、妙に盛り上がっているのが少し可笑しいですね。しかも被害者が村中の嫌われ者なので、悲しんでいる人があまりいない。現実世界の出来事ならかなり不謹慎ですが、フィクションなので良しとしましょう。

物語は、登場人物の動機や犯行時間の午後6時から7時の間のアリバイなどについて細かい情報が出てきて、少し説明的で分かりにくい部分もあります。ですが、一見事件には関係無いと思われる断片的な情報をつなぎ合わせて、1つのシンプルな真実をロジカルに導き出すMiss Marpleの推理力は見事に描かれていると思います。個人的には、Miss Marpleが真犯人を特定した後に立てた「作戦」が素晴らしいと思います。名探偵であるかどうかは、真実を見つけた後の行動にかかっていると思っているので、その点ではMiss Marpleは「真の名探偵」であると思います。

評価:★★★

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2012.01.31

僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ


僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ

自分は名古屋グランパスファンでありますが、しばしば等々力競技場へ川崎フロンターレの試合を観戦に行きます。そこでいつも感心させられるのが、満員のサポーターとアットホームな雰囲気です。かつてのJ2時代には、観客席がガラガラのスタジアムで試合をしていたこのチームが、どうしてこのような発展を遂げたのでしょうか。いつも疑問に思っていました。

フロンターレを育てることに尽力している一人の人物が書いたこの本は、その疑問に対する回答を示してくれます。著者の天野氏は米国でスポーツビジネスを学び、その後フロンターレに入社して、様々なアイディアと行動力で、フロンターレをプロモーションしていきます。小学生の算数ドリル、バナナ、銭湯、絵本の読み聞かせ…。およそサッカーとは関係の無いようなものばかりです。「一営利企業による単なるタイアップ宣伝行為ばかりじゃないか」という見方をする人もいるかもしれませんが、満員のスタジアムで、選手と一緒に喜んだり泣いたりするサポーターの姿を見ると、彼が頭をひねったり、汗を流した結果が、「スポーツで人の生活を豊かにする」というクラブの理念の実現に繋がっていると思います。

もちろん、フロンターレの発展は彼一人に起因するものではないですし、サッカーの魅力は試合がメインです。でも、その魅力を多くの人に知ってもらい、お金を払って何度もスタジアムに足を運ぶようにしてもらうためには、ピッチの内外での継続的な努力が欠かせないということを、あらためて思い知らされます。

この本を読んで思い出した本が一冊あります。大分トリニータの栄光と転落を描いたノンフィクション「社長・溝畑宏の天国と地獄」です。

人口や経済状況等が全く異なる大分と川崎、そしてチームの社長である溝畑氏と一部門の部長である天野氏を一概に比較することはできませんが、大分は地元やマスコミなどが、クラブのことをまるで「他人事」のように扱っていて、地元に浸透していないという印象を受けました。でも、フロンターレもかつては注目されないJ2の弱小チームでした。大分トリニータもありとあらゆる手段を使って地元に深く深く根付く努力を惜しまなければ、いつかは芽が出てJ1に帰り咲く日が来るのではないかと思います。

「僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ」と「社長・溝畑宏の天国と地獄」の2冊は、セットで読むことをお勧めします。スポーツノンフィクションとしてもビジネス書として読んでも、いろんな発見が得られる良書です。

評価:★★★★

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2012.01.21

Lionboy


Lionboy
(75,375語 YL:6.5)

ネコと会話ができる少年Charlie。彼が家に帰ると、科学者である両親が姿を消していた。どうやら近所に住む少年Rafiが関与しているらしい。Charlie自身も捉えられそうになるが、街中のネコ達の助けによって逃げのびる。たどり着いた先は、パリへ向かうきらびやかなサーカス船。Charlieは、そこで出会ったライオン達から頼みごとをされてしまう。「我々をアフリカの大地へ逃がして欲しい…。」

両親を探す少年Charlieの冒険物語です。姿を消した両親の捜索、きらびやかなサーカス団、ネコと話せる特殊能力、ライオンを連れて追手Rafiからの逃避行、そして豪華なオリエント急行など、児童書に必須のハラハラドキドキワクワクをいっぺんに詰め込んだ作品ですね。リアリティなど眼中に無く、ファンタジーの王道ど真ん中を突っ走っている感じが良いです。

ただ、物語が尻切れトンボなのはいただけません。「次巻へ続く」という終わり方というよりは、事件が何一つ解決せず、章の途中でブツッと切られた感じです。続きものの作品だったとしても、1つの作品として、起承転結をまとめてほしかったです。

評価:★★★

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2012.01.07

Steve Jobs


Steve Jobs
(220,000語 YL:8.0)

言わずと知れた2011年の大ベストセラー、Steve Jobsの公認の伝記です。

多くの人のインタビューなどを通して、Jobsという人間を克明に描いています。生い立ちから始まり、Apple IIやMacなどのPC黎明期から、iPadに至るまでの彼の激動の人生をとても詳細に述べていて、非常に読み応えがあります。

神のように崇められる才能を持ち、悪魔のように冷酷。Reality distortion fieldで実現不可能と思われることを可能にする一方、自分に都合の悪い情報は全てシャットダウン。完璧主義で「最高のもの」以外は全て「最低」判断するセンス。全てが極端なJobsですが、そんな彼を側から支え、バランスを取っていた妻Laureneの役割は、彼の人生において非常に大きかったのではないかと思います。

そして、Jobsの人生の物語を面白くしているのは、やっぱりもう一人の天才、Bill Gatesの存在でしょうね。時にライバルであり、友人であり、才能を認める相手であり、こき下ろす対象であり…、2人の関係は複雑でとても一言で言い表せるものではありません。PCのOS市場では圧倒的にAppleを凌駕しているMicrosoftですが、JobsがMacやiPod、iTunes Storeなど様々な「マジック」を披露する度に、驚きを隠せないGatesの姿もまた印象的です。

Jobsの才能は様々に語られていますが、やはり一番大きいのは「最高の製品やサービスを送り出したい」という情熱だと思います。そのためには他人にも無理な要求をして真っ向から対立するし、長い時間検討してきたことを全て破棄してゼロからやり直すことも厭いません。それくらいのことをしないと世界が変えられないと知っていたこと、そして恐れずにそれを行動に移せることが、彼の最大の武器だったのではないかと思います。空気を読んで、対立を避け、波風を立てないように生きている人から見ると、彼の姿はとても鮮烈で眩しく見えてしまうことでしょう。

残念ながらJobsは亡くなってしまいましたが、「永続的な会社を作る」というのも彼の目標の1つでした。AppleがIBMのように100年続く会社になればよいですが、Jobs亡き後、一気に坂道を転げ落ちて、会社が潰れたり、他の会社に買収されたりすることが無いとも言い切れません。そういう意味では、Jobsの「挑戦」はまだ続いていると言ってもいいのかもしれません。

自分が毎日使っているiPodの隅々にも、Jobsの情熱と魂が宿っていると知った時、それが今までよりも美しく見えてしまうような気がします。

評価:★★★★★

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2011.12.30

2011年総括

2011年も暮れようとしております。今年は29冊、約240万語の洋書を読みました。いろいろ忙しい年になったので、ちょっとペースが落ち気味ですね。2000万語に届かなかったのはちょっと残念ですが、それでも月に2冊程度は読めているので、まあまあかな。

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2011.12.18

ほぼ日手帳2012

今年に引き続き、来年も「ほぼ日手帳」を使うことにしました。

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2011.12.02

Sisterhood Everlasting
(The Sisterhood of the Traveling Pants)


Sisterhood Everlasting
(92,054語 YL:7.0)

"Septembers"の4人が高校を卒業してから10年。女優として少しずつ成功しはじめてきたCarmenは、結婚を間近にひかえていた。Kostosのことが忘れられないLenaは学校で絵を教えていた。Bridgetは相変わらず落ち着かない様子ながらもEricと一緒に暮らしていた。オーストラリアに渡ったTibbyとはあまり連絡が取れなくなっていたが、ある日、Carmen達のもとにTibbyから航空券が届いた。ギリシャにあるLenaの祖母の家で会おうという。昔のようにまた4人が揃うことを楽しみにギリシャにたどり着いたCarmen、Lena、そしてBridget。しかしそこで待っていたのは、全く予期しなかったかたちでのTibbyとの再会だった…。

The Sisterhood of the Traveling Pantsシリーズのアフターストーリーです。人気シリーズにありがちな、取って付けたようなお気楽な後日談ではありません。今回Carmen達が直面するのは、人生で最もつらい出来事です。

以下、重大なネタバレを含みますので、ストーリーの内容を知りたくない人は読まないで下さい。

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2011.11.21

I'll Walk Alone


I'll Walk Alone
(91,391語 YL:7.0)

有能なインテリアデザイナーのZanは、稼いだお金のほとんどを、2年前に誘拐された幼い息子Matthewの捜索に費やしていた。そんな中、Zanのクレジットカードで、航空券などZanの見覚えの無い買い物が行われていることが発覚。さらに、Matthewの5歳の誕生日には、「Zan自身がMatthewを連れ去っている写真」が報道され、Zan自身が実の息子の誘拐の容疑者となってしまう。Zanは「誰かが自分になりすまして、自分を陥れようとしている」と主張するのだが、それを信じるものはほとんどいなかった…。

「なりすまし」を描いたサスペンス作品です。「誰かが自分になりすまして、自分のお金を使ったり罪をなすりつけようとしている」という設定は、なかなかに薄気味悪くていい感じですね。「自分と同じ姿をした、得体の知れない存在」を相手にするZanの恐怖が伝わってきます。

ただ、主人公のZanが被害者モード全開で「自分はやってない」と主張するばかりで、事件の解決にほとんど関与していないのがちょっと残念ですね。いろんな人がいろんなところから真相の断片を少しずつ集めてきて事件を解決するのですが、結局誰が事件を解決したのかという部分がわかりづらくなってしまっています。

著者のMary Higgins Clarkの作品はいくつか読んでいるのですが、ちょっとパンチの弱い部類に入ってしまうかもしれません。でも、サスペンス作品としては、英語は容易な部類に入ると思いますし、読みやすいです。Sidney Sheldonなどと少しテイストが似ているかも。

評価:★★★

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2011.11.20

暫定首位!

大雨と強風の中、優勝争いを続けるグランパスを応援すべく、日産スタジアムまで行ってきました。スタジアムに到着した時点で、すでにずぶ濡れ(笑)。

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2011.11.07

Sophie's World


Sophie's World
(165,947語 YL:7.0)

15歳の誕生日を目前にしたSophieは、郵便受けに自分宛の手紙が入っているのを見つける。そこに書いてあったのはただ一言。「あなたは誰?」そしてさらに手紙は続いた。「世界はどこから来たの?」手紙を見てSophieは自問する。私は一体何者なんだろう?どうしてこの世界は存在しているのだろう…。それがAlberto先生とSophieの哲学講義の始まりだった…。

"The Solitaire Mystery"の作者による、不思議な哲学ファンタジーです。"The Solitaire Mystery"と比較すると、話は長いし説明的だし、ちょっと読みづらいところが確かにあります。でも、ソクラテスなど古代の哲学者から、マルクスやダーウィンなど近代の学者まで、様々な先人達の疑問やアイディアを、Alberto先生とSophieの会話という形で沢山紹介しています。

哲学が「自分が何者であるか」という根源的な問いから始まって、それから科学や社会学、美術や工業、そして宗教などと関連しながら、お互いに影響し合って新しいアイディアが出てくるという歴史をなぞっていく過程は非常に面白いですね。アイディアの「化学反応」による多様化といった感じでしょうか。科学だけとか、単一の分野だけを見ているだけでは、把握することのできない「包括的な」知恵の歴史という視点は非常に新鮮です。

主人公であるSophieの住んでいる世界が、物語の中盤で「真っ逆さま」になってしまうストーリー展開は、かなりエキセントリックですね。"The Solitaire Mystery"でもそうでしたが、作者は物語に「再帰的構造」みたいな数学的要素を取り入れるのが好きなのかもしれないと想像しています。

評価:★★★★

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