Rebecca
(Macmillan Guided Readers: Upper Level)
大富豪のMaxim de Winterと結婚し、大邸宅Manderleyに住むことになった「私」。しかし、そこにはMaximの亡き前妻Rebeccaの遺品が至る所にあり、そして使用人達の心にもRebeccaは生き続けていた。そして「私」はRebeccaの幻影に対して次第に恐怖を感じるようになる…。
一言で言って、傑作だと思います。主人公である「私」は、大富豪の妻で、使用人からは丁重に扱われる立場で、ほとんど身の危険は無い状態だし、幽霊のような怪奇現象が起こるわけでもない。しかし、彼女は既に他界した前妻Rebeccaと、Rebeccaが屋敷や、使用人の心に残したいろんなものに恐怖を感じるようになります。このように「目には見えないけどそこはかとなく感じる恐怖」のようなものが、読者にものすごく伝わってきます。
また、誰からも愛された完璧な女性Rebeccaが、どんな人物だったのかを「私」は知りたいと考えるのですが、物語を読んでいる僕もすごく知りたくなり、どんどん読み進んでしまいました。そして、物語の後半で、Rebeccaについての様々な事柄が次第に明らかになってくるところでは、ページをめくる手が止まりませんでした。とにかく、先を早く読みたいと思わせる力のある作品です。常に「真実はどうなっているんだろう?この先、どうなるんだろう?」と思いつつ読んでいました。
なお、この話には、主人公の女性の名前が出てきません。巻頭の登場人物紹介でも"The narrator"としか書かれていませんし、Maximとの結婚後は"Mrs de Winter"と呼ばれます。このことはストーリーの展開とは全然関係無いのですが、こういうディテールも、物語の怪しさを醸し出すのに非常に効果が出ていると思います。
評価:★★★★★
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