« 2004年11月 | トップページ | 2005年1月 »

2004.12.28

The Citadel
(Penguin Readers: Level 5)

The Citadel (Penguin Readers
The Citadel

炭鉱のある田舎町に赴任してきた若き医師Mansonは、そこでの医療のしきたりや「金が全て」という考えを持つ医師達に疑問を持つ。そして、それらの医療現場の改革のために戦うことになる…。

主人公の医師Mansonは、若い頃は正義感が強く、医療現場改革の熱意にあふれているのですが、日々の仕事をこなしていくうちに、次第に「患者のために」ではなく「お金のために」仕事をするようになります。このような「患者のことを考えずにお金のためだけに仕事をする医師」というのは、若き日のMansonが最も忌み嫌っていたものなのですが、気づかないうちに自分がそのような医師の一人になっていく過程がなかなか面白かったです。もしかしたら、我々もいつの間にか「かつて自分が大嫌いだった人間」になっているのかもしれませんね。

Mansonが苦しみながら、もがきながらもいろんな理不尽と戦う姿はなかなか感動的です。ただ、惜しまれるのは、話の流れがちょっとストレート過ぎて次の展開が読めてしまう(特に、Mansonの妻Christineの身に起こる出来事など)ところが非常に多かったので、もうちょっといい意味で読者を裏切るようなサプライズが欲しかったです。

評価:★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.22

The Little Prince

The Little Prince (Wordsworth Collection)
The Little Prince

おなじみ、サン・テグジュペリの「星の王子様」です。

この話は童話なんでしょうけど、もしかしたら作者は大人向けに書いたのかもしれないと思いました。彼は地球にたどり着くまでにいろんな大人(drunkardやbusinessman)に会うのですが、王子様には全て不思議な人に見えます。なんか、「子供はこんな風に大人を見てますよ。昔、子供だった皆さん、覚えていますか?」と言われているようです。

「いつまでも子供の心を忘れない人になりたい」とは思いません。それが一概にいいこととは思えないし、第一不可能だと思うからです。ですが、この物語からは「日々忙しいみなさん、いつの間にか、何か大切なことを忘れていませんか?」という強烈なメッセージが放たれているような気がします。それが説教臭くなく、流れるように頭(それとも心?)に入ってくるのが不思議です。「大切なものは目に見えないんだよ」なぁんて台詞、一見安っぽいドラマで使われそうなクサい台詞のように見えますが、この物語の中では、非常に自然に響いています。

今の季節、年末で忙しい大人の方へのクリスマスプレゼントにぴったりの作品ではないでしょうか。

それでは皆さん、メリークリスマス。

評価:★★★★

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2004.12.18

A Time to Kill
(Penguin Readers: Level 5)

A Time to Kill (Penguin Reader, Level 5)
A Time to Kill

娘を襲った2人の白人男性を射殺した父親(黒人)が逮捕された。主人公の弁護士Jakeはこの父親の弁護人になるが、陪審員は全員白人。果たしてJakeは無罪を勝ち取ることができるのか?また、彼や彼の周りの人々を襲う過激白人団体Ku Klux Klanの魔の手から逃れることができるのか?

主人公のJakeが、白人の多い地域で、白人を殺した黒人を弁護するという非常に困難な問題に直面していることを描いていると思うのですが、いかんせん検察側弁護人のBuckleyが弱すぎです。自分で墓穴掘りすぎ。誰がどう見てもBuckleyよりJakeの方が有能で、法廷で有利にことを進めているのが明らかなので、この裁判が非常に困難であるという印象が薄れてしまいました。敵役はもっと法廷でJakeを執拗に追い詰める切れ者であって欲しかったです。

John Grishamの作品は、この作品の他にもThe Clientを読んだのですが、どちらも「設定はいいんだけど、法廷での対決が物足りないなぁ」という印象でした。

評価:★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.15

100万語通過!

多読を始めてから約7ヶ月で多読100万語を通過しました!
以下にデータ、感想等を掲載します。

●100万語通過時のデータ
経過日数:209日
総読書時間:132時間
冊数:51冊
通過本:Harry Potter and the Sorcerers Stone(ちょっとキリンすぎ)
良かった本Best3: (1)The Ring (2) Rebecca (3) Frankenstein

●100万語を通過しての感想
今のところは多読開始以前に比べて英文読解能力の向上は実感していません。特に、読書速度は今だに平均130words/minくらいで、まだまだスラスラ読書を楽しむ域には達していません。早くもっと難しい本が読めるようになりたいと思うけど、今はまだやさしい本をスラスラ読めるようになることを目指す段階のようですね。まだまだGraded Readersのお世話になる日々が続きそうです。200万語に達する頃には、多少読書速度が上がっているといいなぁ、と思っています。

●読書感想
Graded Readersでは、古今東西の名作が手軽に楽しめるのでいいですね。今まで興味の無かった世界史もの(フランス革命とか)が結構楽しめたのは大きな発見でした。でも、やっぱり基本的にはミステリ好きなので、The RingやRebeccaのように、断片的な事実がラストできっちり1つにまとまるようなきれいなロジックで書かれた作品は大好きで、大いに楽しめました。Graded Readersのような短い本で、これだけ面白い作品に出会えたのは衝撃でした。反対に、シャーロックホームズはいまいち楽しめませんでした。いつかはアガサ・クリスティーに挑戦しようと思っています。

●多読の他にはじめたこと
最近、SkyPerfecTV!のディズニーチャンネルに加入しました。このチャンネルでは多くの番組にクローズド・キャプション(CC)信号が入っているので、デコーダ経由で字幕つきで見てます。「くまのプーさん」のような幼児向けと思われる番組でも難しい単語や表現がいっぱいあってびっくりしました。最近では、HDDレコーダに字幕つきで録画したものをPDA(Clie TH55)に保存して、通勤時にキム・ポッシブルバーバリアン・デイブなどを楽しんでいます。

以上、100万語を通過しての感想その他でした。これからもマイペースで続けていこうと思います。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

Harry Potter and the Sorcerers Stone

Harry Potter and the Sorcerers Stone (US) (Paper) (1)
Harry Potter and the Sorcerers Stone

ご存知、「ハリポタ」でございます。この作品は、前に一度DVDで見たのですが、「そんなに大騒ぎされる程面白いかなぁ?」と思いました。で、今回原作にもチャレンジしてみました。

正直言ってちょっと英語のレベルが僕にはちょっと高すぎました。知らない単語や表現もかなりあったし、以前にDVDを見ていたので状況は60%くらいは理解できたと思うのですが、事前にDVDをチェックしてなかったらほとんど理解できなかったかもしれません。

で、ストーリーですが、映画ではサクっとホグワーツに入学したような気がするのですが、原作では入学前のエピソードが結構長いですね。あと、表現がすごく生き生きしているような気がします。Quidditchのシーンなんかは、映画ではあんまり面白く感じなかったのですが、原作ではすごくスピード感豊かに表現されていると思います。

キャラクター的には、ハリー自身にはあんまり魅力を感じませんでした。でも、どんどんたくましくなっていくロンと、小生意気な感じのハーマイオニーがいい感じですね。

Cirque de FreakThe Witchesでは、ヴァンパイアや魔女といった人種について、いくつか定説とは異なる設定をしているのですが、ハリポタでは、WizardやWitchについて割とオーソドックスな設定になってますね(ほうきで空を飛んだりとか、杖で呪文を放ったりとか)。その辺の「分かりやすさ」もこの作品がヒットした理由の1つかもしれませんね。

評価:★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.01

Man from the South and Other Stories
(Penguin Readers: Level 6)

Penguin Readers Level 6Man from the South and Other Stories

MatildaThe WitchesでおなじみのRonald Dahlの短編集です。Man from the South, Beware of the Dog, The Landlady, The Vicar's Pleasure, Pig, An African Story, The Champion of the Worldの7話が入っています。

今まで読んだDahlの作品がそこそこ面白かったし、背表紙にも期待させるような文句が書かれていたので楽しみに読んだのですが、ハッキリ言って期待はずれでした。背景知識が無いのがいけないのかも知れませんが、オチまで読んでも何が面白いのか分からない話(Beware of the Dog, The Landlady)や、オチが読めてしまう話(The Vicar's Pleasure, The Champion of the World)ばかりでした。おまけに、ほとんどの話が残酷な話で、とても面白かったと言える代物ではありませんでした。

「残酷だからつまらない」と言っているわけではありません。世の中には残酷な表現をしても十分読者を楽しませる力を持つ作品も多々あります。例えば、日本人作家の作品ですが、我孫子武丸の「殺戮にいたる病」なんかは、残酷な表現が多々含まれていますが、驚愕の結末が用意してあり、すごく楽しめた作品です。僕が「今まで読んだミステリの中で、一番面白かったものは何?」と聞かれたら、間違いなくこの「殺戮にいたる病」を挙げます(この作品をミステリの範疇に入れてよいのかどうかは評価が分かれるかもしれませんが)。

MatildaThe Witchesなんかは、小学生くらいの子供をターゲットにしているのでしょうが、このMan from the South and Other Storiesは、どのような人に薦めていいのか全く想像がつきませんでした。

評価:★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2004年11月 | トップページ | 2005年1月 »