The Falcon's Malteser
Tim Diamondという名前で私立探偵をしているHerbertは、お世辞にも探偵に向いているとは言えなかった。しかし、彼の弟Nickは兄よりもはるかに頭脳明晰だった。ある日、Diamond探偵事務所に男が訪ねてきて「この封筒を預かって欲しい。500ドル出す。」と言う。封筒を預かるだけで報酬が出るという、うまい話に喜ぶHerbert。しかし、この封筒が彼ら2人を大きな事件に巻き込むことになる…。
この物語の作者は、"Stormbreaker"を書いたAnthony Horowitzなのですが、その"Stormbreaker"同様、非常に簡潔な語り口で書かれています。物語の最初から、舞台背景や登場人物の紹介もそこそこに、いきなり事件が始まります。冗長な表現やエピソードなんかはほとんど無く、話がサクサク進むので、読んでいて非常に気持ちがいいです。
"Stormbreaker"の主人公Alexは、どちらかと言うと体力系、瞬時の判断力系な感じがするのに対し、"The Falcon's Malteser"の主人公Nickは、熟考、推理力系ですね。また、Alexは結構シリアスなのに対し、Nickは冗談や皮肉を言ったりするタイプで、キャラクター的には後者の方が好きです。また、彼の兄であるHerbertがまたいい味出してます。全然向いていないのに、本人は真剣に私立探偵をやっていると思っていて、完全に主人公Nickの引き立て役になってます。 "Case Closed"のRichard Mooreと同じような役回りですな。
いろんなところに伏線が張ってあったりして、ミステリ的な要素もちょっと含んでいますし、主人公の絶体絶命シーンも多数用意されていますので、娯楽小説として十分楽しめるようになっています。 "Stormbreaker"を読んで気に入ったという人なら、"Horowitz節"を堪能できる1冊だと思います。
評価:★★★★
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