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2005.09.28

A Better View for Gordon

And Other Thomas the Tank Engine Stories (Pictureback)
A Better View for Gordon

機関車Gordonは、いつも文句ばかり言っています。ある日、新しい駅に着いたGordonでしたが、停車した彼の目の前には無地の壁しかありませんでした。「俺様のような素晴らしい機関車には、もっと素晴らしい眺めがお似合いなのに…。」

子供達に人気の「機関車トーマス」の絵本です(トーマスは出てきませんが)。絵本といっても、挿絵はテレビ版の映像と思われる写真になっています。短いエピソード3作のオムニバスになっており、サクサクと読んでいけるので、手元にあるとついパラパラとめくって眺めたくなりますね。どの話も、機関車たちの「トラブル」にまつわる話なのですが、子供向けだけあって殺伐とした雰囲気はなく、安心して読めます。

大人になってから絵本を読むってのも、けっこう楽しいですね。新しい発見をしたような気分でちょっと嬉しいです。

評価:★★★★

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2005.09.16

The War of the Worlds
(Penguin Readers: Level 5)

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The War of the Worlds

19世紀の終わりに、突然地球に来襲してきた火星人達。彼らは見たこともない強大なマシンを操り、殺戮と破壊を繰り返す。パニックになり、逃げ惑う人々。極限状態で起こる様々なドラマ。果たして、人類は火星人を倒し、生き延びることができるのか?

火星人の襲来を描いたこの作品は、オーソン・ウェルズがラジオドラマの中でその襲来の様子をアナウンスする演技をしたところ、そのあまりのリアリティのために本当だと思い込んだ人々がパニックになって、死者まで出たというエピソードで有名なSF作品ですね。また、最近、スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演で映画化されましたね。公式サイトもあるのですが、日本語があまりに機械翻訳そのまんまで、とても読めるような代物ではないのですが、へなへな感があってなかなかに味わい深いです。

物語は、正統派パニックストーリーと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、情景や人々の行動の描写が非常にリアルで、物語にぐいぐい引き込まれてしまいます。特に、人々が死と隣り合わせにいても、火星人の襲来というとてつもない出来事に、危険を忘れて興奮してしまうようなシーンでは、読んでいるこちらも興奮してきます。こんな作品が100年以上も前に書かれたなんて、非常に驚きです。

この作品が書かれたのが19世紀で、今はすでに21世紀です。でも未だに地球外生命のはっきりとした証拠は見つかっていません。作者のH.G.Wells氏がこれを知ったら、ちょっとがっかりするかもしれませんね。でも、もしこんな火星人が見つかったら、さらにがっかりするかもしれませんね。(笑)

評価:★★★★

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2005.09.13

Deadly Harvest
(Cambridge English Readers: Level 6)

Deadly Harvest (Cambridge English Readers)
Deadly Harvest

のどかな田舎町に赴任してきた女刑事Jane。彼女は、変化を好まない同僚や住人に囲まれながら仕事を始める。しかし、赴任早々、殺人事件が発生する。大きな犯罪の起こったことのないこの小さな町で、一体何が起こっているのか?事件を調べていくうちに、Janeは恐るべき陰謀を目の当たりにする…。

事件が発生して、主人公Janeが断片的な情報を収集していき、ラストでそれらがジグソーパズルのピースのようにぴったりとおさまるのが非常に気持ちいいです。きちんとした「正統派ミステリ」であると言えましょう。しかし、ストーリーの根幹は非常にしっかりしているのですが、もうちょっとストーリーの端々でスパイスをきかせてもよかったのではないかと思います。例えば、主人公の刑事Janeは、都会から田舎町に赴任してきて、いきなりボスとして部下(男女問わず)をこき使うのですが、意外に部下からの反発が少ないように思います。例えば、「冗談じゃねえや。女の言うことなんて聞けるかよ」みたいなことを言って、彼女の捜査を内側から邪魔する男性刑事のような「抵抗勢力」があったりしてもよかったのではないかと思います。もちろん、そんなエピソードを入れてしまっては、ストーリーが長くなってしまってGraded Readersにそぐわなくなるのは重々承知なのですが。

ちょっと惜しい作品ですね。星3.5個といったところでしょうか。

評価:★★★

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2005.09.06

The Naked Face

The Naked Face
The Naked Face

クリスマス間近の日、精神分析医Judd Stevensの患者の一人が街角で殺害された。そして間もなく、Juddのオフィスの受付嬢も惨殺された。そして彼自身も命を狙われてしまう。しかし、彼は警察に最重要容疑者として扱われてしまう。果たして、Juddは逮捕されてしまうのか?それとも素顔の見えない暗殺者に殺されてしまうのか…?

この作品は、Sidney Sheldonの処女作だそうです。彼の作品にしては珍しく、登場人物が世界を飛び回ったりせずに、主人公の精神分析医Juddの自宅やオフィス近辺で物語のほとんどが展開します。一応、ミステリ仕立てということにはなっているのですが、物語の半ばあたりで、あからさまに怪しいやつ(言動が非常に怪しかったり、犯行が物理的に可能である人物)がほぼ特定できてしまうので、「読者に挑戦する形式の犯人当てミステリ」という観点で見ると、ちょっと不出来な部類に入ると思います。もうちょっと読者をはめる「落とし穴」なんかが用意してあったりしてもよかったのではないでしょうか。人の心を分析することに長けている精神分析医の主人公が、その「怪しいヤツ」に全然気づかないのは結構興ざめで、「バレバレじゃん!気づけよ!Judd!」と何度もツッコミを入れたくなりました。

それでも、この作品を「ミステリ」ではなく「サスペンス」としてとらえた場合には、そこそこ読める作品になっていると思います。犯人の「素顔」が分からずに疑心暗鬼になる精神分析医の苦悩や、彼が感じる恐怖なんかは、非常にしっかり描写してあると思います。

評価:★★★

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