Molly Moon's Incredible Book of Hypnotism
Molly Moon's Incredible Book of Hypnotism
(72,436語 YL:6.0)
孤児院で暮らす女の子Molly Moon。彼女はみんなからいじめられて、つらい日々を送っていた。さらに、唯一の親友であるRockyを引き取るという家族が現れ、彼をN.Y.に連れて行ってしまう。自分の境遇に何も希望を持てないMollyであったが、ある日、図書館で「催眠術」の本を見つける。彼女はその催眠術を使って苦境を脱出するのだが、催眠術の本を探し求めていた男の魔の手が、彼女に忍び寄る…。
催眠術を使う女の子Mollyの冒険物語です。Harry PotterやMatildaなどに見られるように、「両親を亡くすなどして不幸な境遇にいる子供が、ある日突然スーパーパワー(もしくは自分自身に隠されていた能力)を見つけて大活躍」というのは、言わば「児童書の王道」な設定であり、新鮮さが無いように思われるかもしれませんが、この作品は先が読めないハラハラドキドキな展開が楽しめます。また、催眠術の使い方などについてもバラエティーに富んでおり、アイディアあふれる作品になっています。キャラクターを見ても、主人公のMollyが「催眠術で自分が幸せになることで、みんなを不幸にしているのではないか」と悩んだりする場面があるなど、人物の感情の動きについてもしっかり描写してあります。物語の最中で「生物でないもの」まで催眠術で操ってしまうなど、すごいご都合主義な場面もありますが、物語が全体として荒唐無稽なので、それを考慮すると許容範囲でしょう(笑)。
背表紙に、この作品の褒め言葉として「(Harry Potterの作者の)J.K.Rowlingへの新たなる挑戦者!」とか書かれています。さすがにこれはちょっと言い過ぎな感じもしないでもないですが、とても楽しめる作品であることは確かです。ちなみに、この作品は作者Georgia Byngの処女作だそうです。次回作も楽しみですね。
「もし自分が催眠術で人を自由に操れたら…」なんて想像してみるのも面白いですね。僕の場合は…会社のエラい人達を操って、給料をちょっと上げてもらおうかな。って、こりゃまたすごくセコい野望だな(笑)。
評価:★★★★★
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コメント
ぴくろんさんこんばんわ。
おっ今年初めの五つ星!ですね。
この本もいつかいつか・・・読みたいです。
メモしておかなくちゃ。
それにしても印象的な表紙(笑)
YL5.0~6.0の間というのは素晴らしい本が沢山ありますねー。
もうちょっと頑張らなきゃ(^_^;)
投稿: ノラ | 2008.01.09 20:30
ノラさん、こんにちは。ぴくりんです。
コメントありがとうございます。
「印象的な表紙」とのご感想ですが、まさにそのとおりで、デザインも面白い本です。各章の最初のページには、文字のバックに催眠術をイメージしたようなクルクルうずまき模様なんかが入っていたりして、なかなかオシャレです。
ストーリーだけでなくデザインも楽しめる、いい作品ですよ。
投稿: ぴくりん | 2008.01.10 23:18