Life of Pi
Life of Pi
(100,885語 YL:7.6)
インドに住む少年Piは、動物園のオーナーの息子。彼の一家はカナダに移住すべく、動物たちとともに日本の商船でインドを発つ。しかし航海の途中で船は沈没。救命ボートで命は助かったPiであったが、同じボートに乗り合わせたのは、大きく強いベンガル虎…。小さなボートを舞台に、一人と一頭の漂流は続く…。
大海原を虎と共に漂流する一人の少年の物語です。少年Piの航海は200日以上にもわたり、渇き、飢え、嵐、日照り、孤独、死への恐怖など、ありとあらゆる困難に満ち溢れています。それらを乗り越え、「生きる」という意思を持ち続けたPiの信念の強さには感動を覚えます。状況設定としてはとてもありえないような状況ですが、そこでのPiの心理の描写などはとても克明でリアリティに溢れています。
でも、この物語は単なる「極限状態における人間ドラマ」で終わっていません。物語の終盤で、語り手であるPi自身が問いかけます。「あなたはこの信じられない話を信じますか?」と。Piの話を最後まで読んだ人なら、きっと彼を信じたくなると思います。
最初の方は少々かったるい感じもしますが、ぜひ最後まで読んで読後感をじっくり味わってほしい作品です。
評価:★★★★★
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