We All Live in a Perry Groves World
We All Live in a Perry Groves World
(73,000語 YL:8.0)
1980-90年代に、イングランド・プレミアリーグの名門クラブ、アーセナルで活躍したプレーヤー、Perry Grovesの自伝です。彼自身は、代表歴もないし、スタメンとサブを行ったり来たりの生活で、選手としてすごく輝かしいキャリアを築いたというわけではありません(もちろん、アーセナルの一員としてプレーしただけでも凄いことなのですけどね)。それでも、独特の風貌や言動で、サポーターの記憶に残るプレーヤーだったようです。
内容は、アーセナルでの日々の生活のみならず、自分の浮気癖や、チームメートの違法な賭博行為など、なかなか書けないようなことまでユーモアたっぷりに描かれています。
この作品のハイライトと言えば、やっぱり1989年の「アンフィールドの奇跡」ですね。リーグの最終節に強豪リバプールとの優勝争い直接対決を2-0で制して大逆転優勝をかざった伝説の試合です(得失点差のため、優勝のためには2点差以上の勝利が必要だった)。Perry自身は後半残りわずかの場面で数分プレーしただけですが、「オレが走ってディフェンダーを引き付けたから、後半ロスタイムの2点目が生まれた」と言い張るあたり、オレ様な感じがあって非常によいと思います。
基本的にはいろんな出来事を面白おかしく描いていますが、怪我によってキャリアを終えなければならないかもしれないという恐怖などはとてもリアリティがあります。また、若くて才能もあるのに、低いレベルで満足しているプレーヤーには彼は怒りのようなものも覚えています。彼に言わせると、そういうプレーヤーと一流のプレーヤーを分けるのは、「リスクを取る勇気や覚悟」なのだそうです。
出来事が時系列でつらつらと述べられている面もあるので、サッカー好きでない人にはちょっとつらい一冊かもしれませんが、プレミアリーガーの「本音」を正直に語った貴重な作品であると思います。
評価:★★★★
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