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2009.05.09

野球人の錯覚


野球人の錯覚

和書ですが、面白い本だったのでご紹介。

ホームランやエラーが試合の流れを変えることがあるかどうかや、「左投手には右打者を」というセオリー、「先頭打者を四球で歩かせるくらいなら、安打を打たれた方がまし」といったジンクス等が妥当なものかどうかを、数値的に検証した結果をまとめた本です。結果的に言うと、よく「試合の流れ」と言われているものに関する通説は、統計的に見るとほとんど正しいとは言えないようですね。

この本を読んだあとでは、プロ野球の見方が変わると思います。特に、解説者が言っていることをありがたがって鵜呑みにすることはなくなると思います。もちろん、野球解説者の多くはプロで活躍した経験があるので、彼らの意見はその経験に裏打ちされたものかもしれませんが、その経験こそがまさに「錯覚」である可能性を、この本は教えてくれます。

だからと言って、この本が野球観戦をつまらなくするかと言ったら、その逆だと思います。著者もあとがきで以下のように述べています。

「根性や運の重要さを否定しているわけではない。」
「実際の試合では、この程度の確率を使ったのでは勝負に勝てないだろう。」

個人的には、この本は単に野球における統計という分かりやすい見方(側面)を新たに提示することで、観戦の視点を広げてくれるものだと思います。また、統計的な結果はどうあれ、スポーツは人間がやるものですので、通説やジンクスを信じたり信じなかったりする様々なプレーヤーが織りなすドラマが楽しめるのだと思います。かのイチロー選手でさえ、ゲンを担ぐそうですからね。

多くの野球解説者の皆さんに読んで欲しい一冊です。

評価:★★★★

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