Bootleg
Bootleg
(66,240語 YL:4.5)
選挙で政権を奪取した「あなたのためです党」。この党が可決した「チョコレート禁止法」により、チョコレートをはじめとする全ての甘味の所持および製造、販売は禁止された。法に逆らうものは捉えられ、「再教育」という名の洗脳を受けることに。しかし、チョコレートを愛する少年SmudgerとHuntlyは、理不尽な法律に対抗すべく、チョコレートの密造を開始。しかし、彼らには捜査の手が伸びる…。
チョコレートが禁止された世界での少年達の反抗の物語です。「理不尽な大人に知恵と勇気で対抗する少年達」という構図で、ある意味、児童書の王道をいく作品ですね。
(チョコの製造という)違法行為や絶対絶命のピンチなどの場面もありますが、全編にマンガチックでユーモラスな雰囲気が漂っています。特にキャラクター描写が秀逸ですね。明るくてお気楽なSmudgerと、比較的慎重派のHuntlyという二人の主人公の性格もきっちり分かれています。また、チョコレートのCMをクビになった元役者で現在ホームレスのCharlesや、古本屋を営む謎多き老人Mr.Bladesなど、脇役もとてもキャラが立ってます。
それにしても、少年達が犯罪行為に手を染めるくらいのチョコレートの魔力って、やっぱりすごいですよね。甘くて、安価で、手軽で、いつでもどこでも食べられるチョコレートは、日々の生活で感じられる小さな幸せの象徴だと思います。「チョコレート禁止」をマニフェストに掲げる政党があったら、自分だったら絶対に投票しないですね。
読み終わった後には、間違いなくチョコレートが食べたくなる一作です。
評価:★★★★★
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
最近のコメント