The Hunted
The Hunted
(76,000語 YL:6.0)
医学の発展により、老化を防止し、人々はいつまでも生きられるようになった。しかしその副作用として、子供がほとんど産まれなくなった。子供や中年の姿のまま、何十年も生き続ける人で世界はあふれかえっていた。そんな世界で貴重な存在である少年Tarrinは、子供を夢見る家庭に「レンタル」されて暮らしていた。お客の要望にこたえるべく、彼らが想像する通りの「少年」を演じるTarrin。僕は本当の僕でありたいのに…。
不老不死が現実となった世界でさまよう少年Tarrinの物語です。一言で言うと、現在日本も直面している「少子高齢化」を非常に極端な姿で描いた作品ですね。「ずっと若いままでいたい。死にたくない」というのは、多くの人に共通の、ある意味「究極の欲望」ではありますが、それをみんなが手に入れたらどうなるかというのはあまり想像したことがありませんでした。で、この作品の登場人物で不老不死の身体を手に入れた人々は、だれもあまり幸せそうには見えませんね。「子供ははやく大人になりたい。大人は歳をとりたくない。命に限りがあるものは不老不死になりたい。そして不老不死の者は新たな生命(子供)が欲しい。」ありきたりと思える欲望の、なんと矛盾と皮肉に満ちていることでしょうか。
心と身体が一緒に成長して、限りある命を自分らしく精一杯生きることの大切さ、そして難しさを考えさせられる作品です。奥深さを感じますね。
評価:★★★★
| 固定リンク
コメント