« 仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか | トップページ | Captain Underpants and the Invasion of the Incredibly Naughty Cafeteria Ladies from Outer Space »

2010.02.17

Fooled by Randomness: The Hidden Role of Chance in Life and in the Markets


Fooled by Randomness
(89,000語 YL:9.0)

株式市場や投資家を題材に、ランダムな事象やそれに影響を受ける人々の心理について述べたビジネス書です。モンテカルロシミュレーション等の数学的な道具を使っていますが、小難しい数式や理論はほとんど無く、読み物として楽しめるようになっています。(英語はちょっと難しめですけど)

人は成功すると、それを自分の能力のせいだとして、失敗すると偶然のせいにするのだそうです。長年利益を出し続けたトレーダー達が急激な市況の変動で大損失を被った場合、口をそろえて「俺の理論は間違っていなかった。今回はたまたま運が悪かっただけだ」と言うらしいです。(決して今までの成功が偶然だったとは考えない)

ですが、株式市場へ参加する投資家の数が膨大であれば、そのうちの何人かが「たまたま偶然」大儲けをしても、それは確率的に全く不思議ではないことを指摘しています。

だからと言って「大儲けしている奴らは全員運がいいだけだ。能力なんて関係ない」というわけではないとも著者は指摘しています。「成功している間は、それが能力によるものなのか、偶然の産物なのかは判別できない」と、とても論理的に述べています。


この本を読むと、

「10年間無敗の最強トレーダー」に、老後の安定した生活のための資金の運用を任せていいのかどうか

とか、

「半年間で○億円稼いだカリスマ主婦の投資法」を真似してもいいものかどうか

とか、

よく当たると評判の占い師が、「ライブドアの株価は今後5倍に上がる」とテレビで言っていたが、信用して株を買ってよいものかどうか

とか、

「検察は私を不起訴にしました。つまり私の潔白が証明されたということです」と自信たっぷりに話す幹事長の言葉を信用していいのかどうか

などの問題に直面した際に、確率的、論理的な面から的確な判断を下すヒントをいくつも見つけることができると思います。


さらに特筆すべきことは、この本が、単にウォール街の強欲トレーダーが確率に踊らされて地獄に落ちるのを嘲笑することを目的にしているのではないことです。そればかりか、感情で動く人間(読者やこの本の著者自身も含む)や動物達は、過去の経験に縛られたり、意味の無いものに(後付けで)意味を見出そうとする習性から抜け出せないことを指摘しています。確かに、確率的な観点からすれば、我々が宝くじを買ったり、星占いをチェックしたり、ゲンを担いだりするのは、無意味で愚かな行為のように思われます。

それでは、私達はただ確率の荒波に身を任せるだけで、何もできないのでしょうか。そんな疑問を持つ読者に対して、著者はこんなメッセージを贈っています。

「幸運の女神が操作できないのは、あなたの行動だけなのです。Good luck。」

"A Finantial Times best business book of the year"という称号はダテではないですね。株式トレーダーになりたい人や、これから経済学を専攻しようとする学生さんは必読です。

評価:★★★★★

|

« 仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか | トップページ | Captain Underpants and the Invasion of the Incredibly Naughty Cafeteria Ladies from Outer Space »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Fooled by Randomness: The Hidden Role of Chance in Life and in the Markets:

« 仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか | トップページ | Captain Underpants and the Invasion of the Incredibly Naughty Cafeteria Ladies from Outer Space »