Beatrice and Virgil
Beatrice and Virgil
(50,000語 YL:7.0)
作家のHenryのもとには、何通ものファンレターが届いていたが、その中に一通、奇妙な手紙があった。同封されていたのは、おかしな演劇の脚本と、「あなたの力を借りたい」というメッセージ。送信元が近所だと知ったHenryは、差出人の住所を訪れる。そこは奇妙な剥製屋敷で、差出人は感情を表に出さない薄気味悪い剥製職人だった。そこでHenryは、彼からこれまた奇妙なロバとサルの話を聞くことになるのだが…。
"Life of Pi"の作者Yann Martelの作品です。物語の中盤までは、ロバとサルの会話で構成される演劇脚本の断片が散りばめられており、非常に散漫な感じもします。でも、謎の剥製職人が何故物語(脚本)を書いているのか、それが意味するものは何なのかが非常に気になって、どんどん読み進んでしまいました。そして、物語の終盤ちょっと手前で「あれ?ちょっと話がおかしくなってきている?」と思わせておいて、最後の最後で驚くべき事実が明らかになります。展開としては"Life of Pi"に通じるものがありますね。物語のテーマは「贖罪」だと思うのですが、剥製という要素と強烈なラストシーンで、そのテーマを読者に焼き付けています。
物語の冒頭で、主人公の作家Henryが、長年温めていた作品を編集者にこきおろされる場面があるのですが、何となく作者自身の経験が入っているような気がします(笑)。
評価:★★★★
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コメント
こんにちは。
多読ブログやってます、アラゴラスです。
時々ブログ拝見させていただいてます。
この本面白そうですね~。
とはいえYL7か・・・。手に取れるようになるのはいつの日か・・・。
今は専業主婦になり、時間もたっぷりあるのですが、
通勤読書が読書時間の中心となっていた私はどーも思うように読む時間が取れません(笑)
でも、他のタドキストさんのブログを見てると、
「私もペーパーバック読みたーい!」ってモチベーションが上がります(笑)
また遊びに来まーす。
投稿: アラゴラス | 2010.10.16 10:33
アラゴラスさん、こんにちは。ぴくりんです。
時々ご覧頂いているという嬉しいコメントありがとうございます。こちらもblogを書くモチベーションが上がります(笑)。
Beatrice and Virgilは面白いですけど、刺激が強くでショッキングなシーンも多いので、好みが分かれるかもしれません。
読者が女性の場合、個人的には"Little Bee"( http://pickring.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/little-bee.html )もお勧めしたいですね。イギリスのキャリアウーマンとナイジェリアの貧しい村の少女の人生が交錯するストーリーです。でも、この作品もショッキングという点ではBeatrice and Virgilに負けていないのですけどね(笑)。
こんなblogでよろしければ、またお時間のある時にでもお立ち寄り下さい。
投稿: ぴくりん | 2010.10.18 00:38