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2011.02.25

Molly Moon's Hypnotic Time Travel Adventure
(Molly Moon #3)


Molly Moon's Hypnotic Time Travel Adventure
(78,929語 YL:7.0)

やっと両親に出会えたMollyだったが、彼女の母親はいつも悲しそうな顔ばかり。自分が悪いとMollyが思い込んでいた矢先、彼女は謎のインド人に誘拐されてしまう。そして連れてこられたところは、1870年のインド。そこで彼女が出会ったのは、強大な力を持つマハラジャWaqtと、彼に誘拐された4人の「過去のMolly達」だった…。

Molly Moonシリーズの第3巻です。前作で時間を止める能力を得たMollyですが、今回は過去や未来にタイムトラベルまでしてしまいます。ますますヒロ・ナカムラ化が進んだようです(笑)。今回もタイムパラドックスなどお構いなしの勢いでゴリゴリ話が進んでいきます。

前作まで舞台は欧米だったので、Mollyが過去のインドを旅するストーリーは目先が変わって新鮮ですね。ストーリー的にも「前作の黒幕にはさらに強大な黒幕がいた」という展開や、次回作が読みたくなるようなエンディングなど、押さえるべきツボはきっちり押さえて読者を物語に引き込んでいきます。でも幾多の修羅場をくぐってきたMollyがちょっと大人びてしまって、事態に対して冷静に対処しすぎているの少し残念なところ。もう少しMollyの成長物語を楽しみたかったですね。

第1巻、第2巻が秀逸だっただけに、今回はちょっと採点は厳し目に星4つ。でも十分に魅力的な作品ですよ。

評価:★★★★

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2011.02.16

Kensuke's Kingdom


Kensuke's Kingdom
(30,540語 YL:6.3)

ヨットで両親と共に旅を続けていたMichaelは、嵐の夜に海に転落してしまう。しかし奇跡的に助かり、見知らぬ島に漂着する。そこにいたのは、テナガザル、オランウータン、そして謎の老人ケンスケ。彼はMichaelに食べ物を与えるが、大きな火を焚いたり海で泳いだりするのを強く禁じた。言葉もほとんど分からない両者だったが、ある事件をきっかけに、二人の絆が次第に深まっていく…。

無人島で暮らす老人と少年の交流を描いたヒューマンドラマです。最初は敵か味方かも分からず、老人ケンスケは謎めいた雰囲気を醸し出しています。事件の後には少しずつ言葉も通じるようになるのですが、そこでお互いが自分の過去や境遇を語り合う部分がすごくいいですね。二人の気持ちが変化していく様子が、彼らの台詞から読みとれます。互いをいたわる気持ちがあれば、言葉の違いや難しい境遇を乗り越えて気持ちを通わせることができると思わせてくれる作品です。

ちょっと和風テイストなイラストも、なかなかいい雰囲気を出しています。

評価:★★★

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2011.02.13

The Weekend


The Weekend
(39,000語 YL:8.0)

殺人犯でテロリストのJorgが保釈された。24年間の服役を終えて始めての週末、Jorgの姉Christianeは、彼と彼の昔の友達を山荘に連れてくる。そして彼らの心に宿る様々な想いは…。

保釈された元テロリストとその友人達との再会を描いたヒューマンドラマです。テーマとしては、「贖罪」とか「過去を捨てること」みたいなものに焦点が当てられているような気がします。ただ、登場人物の役割付けや、物語の起承転結がよく分かりません。登場人物が言いたい時に言いたいことを言っているという感じで、物語が淡々と進んで、あまり起伏がないように感じてしまいます。

「移り変わる世界の中で、自分だけが変わることができずに過去の理想ばかりを追い続け、それを実現するために暴力的な手段しか考えられなくなるとテロリストになる」など、独自の視点で世界を捉えていて面白い部分もたくさんあると思います。ただ、いろんなメッセージが断片的に詰まっていそうなだけに、もう少し読者を引き付ける構造になっていて欲しかったですね。

評価:★★

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2011.02.08

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら


もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

「野球部を甲子園に連れていく」という決意のもとに、野球部のマネジャーになった川島みなみ。そんな彼女が全くの勘違いで、本屋でドラッカーの「マネジメント」を購入してしまう。しかし、彼女は次第にこの本が野球部の「マネジメント」にも大いに役立ちそうだと感じはじめる。そして、「マネジメント」をもとにした彼女の行動が、野球部を少しずつ変えていく…。

遅ればせながら、ベストセラーの「もしドラ」を読んでみました。「萌え+スポ根+ビジネス」という組み合わせは新鮮ですね。さすがにAKB48のプロデュースやバラエティー番組を手掛け、エンターテイメントの一線にいる作者ならではといったところでしょうか。

単にストーリーを楽しむ小説として読んだ場合は、ツッコミどころも多々あると思います。文章が説明的すぎてちょっとドライな感じもするし、キャラクターが単にドラッカーの言葉をうまく説明するための「駒」にすぎないように感じるところもあります。「そんなにやることなすことうまくいくわけないだろう」だとか「オチが予定調和的」だとか、挙げ始めたらきりがないと思います。

でもこの作品の偉いところは、ドラッカーの言葉が、自分の目標や直面している問題に対してどのように役立てることができるのかを、高校野球という「ケーススタディ」を通して、分かりやすく読者に示したことにあると思います。そこの芯の部分がしっかりしているので、多少の欠点は大目に見ることができます。「分かりやすさ」は何者にも勝るという好例だと思います。

それにしても、ドラッカーの言葉には、読んでいてドキッとするものも多々ありますね。「失敗しない者は、見せかけか、下らないことにしか手をつけない者である」とか「イノベーション戦略の一歩は、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである」などが特に印象に残りました。

評価:★★★★

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2011.02.07

Molly Moon Stops the World
(Molly Moon #2)


Molly Moon Stops the World
(69,755語 YL:7.0)

催眠術を操る女の子Mollyは、信頼する図書館司書のLucyから依頼を受ける。「アメリカで子供スターのDavinaが誘拐された。ハリウッド中のスター達を催眠術で操るPrimo Cellという男の仕業らしい。現地に行って彼のたくらみを探ってほしい…。」親友のRocky、そして愛犬のPetulaとともにアカデミー賞真っ只中のハリウッドに潜入したMolly。しかし強力な催眠術を操るPrimo Cellの恐るべき野望、そして意外な真実を知ることになる…。

"Molly Moon's Incredible Book of Hypnotism"の続編です。今回Mollyは催眠術に加えて、時間を止める能力を得ます。ヒロ・ナカムラ的ですな(笑)。時間が止まっているのに電話や自動車が使えるなど、ご都合主義的なところも多々ありますが、そんな些細なことはどうでもよくなるくらいの面白さです。

催眠術とか超能力とかハリウッドとか、面白い要素がてんこ盛りで、しかもストーリーも二転三転して目が離せません。でもこの作品が素晴らしいのは、いろんな難しい場面や真実に遭遇したときの、Mollyの素直な気持ちを100%描ききっていることだと思います。

単に「新しい能力を獲得していろんなことができるようになりました」というだけでなく、11歳のMollyが悩みながら人間としても少しずつ成長しているのを見ると、応援してあげたくなります。奇をてらったような設定やストーリーのように見えますが、実は直球ストレートな児童書の王道を行くような作品だと思います。

評価:★★★★★

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