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2011.08.29

Remember Me?


Remember Me?
(110,000語 YL:7.0)

さえない生活を送っていた25歳のLexiは、友達と飲みに行った帰りに、階段から転げ落ちて頭を打ち、気絶してしまう。目を覚ますと、なんと3年経って28歳になっていた。しかも28歳のLexiは、真っ白な歯、ナイスな体型、職場での大幅な昇進、そしてお金持ちで優しくてイケメンの夫をゲットしていた!Lexiは3年間昏睡していたのではなく、彼女の記憶から、過去3年間の出来事がすっぽり抜け落ちていたのだ。Lexiは一夜にして夢のような生活を手に入れたシンデレラのような気分だったが、やがてその生活に隠されたいろいろな事実が明らかになる…。

Sophie Kinsellaのコメディ作品です。しかし、この人の作品の舞台設定は本当に絶妙ですね。特に、主人公の女性を、その性格とは間逆の環境に放り込んで、その姿を面白おかしく描くという手法が、すごく成功していると思います。"Confessions of a Shopaholic"の主人公Rebeccaは「無駄遣いがやめられない経済ジャーナリスト」だし、"The Undomestic Goddess"のSamanthaは「家事が全くできないのに家政婦になった超有能弁護士」です。そして、"Remember Me?"のLexiは「人がうらやむ仕事と結婚生活を手に入れたけど、それらの何もかも覚えていないキャリアウーマン」です。

さらに、コメディのように見せかけておいて、人間ドラマもきちんと描ききっているのが見事です。Lexiは一見夢のような生活を手に入れましたが、そこで失ったものの大きさにも気づき、悩み、困難に立ち向かいます。友達のために立ち上がる彼女の姿には、なかなかグッとくるものがあります。

また、「自分が失った記憶に隠された秘密」が断片的な情報から徐々に明らかになっていく部分などは、そこらの三流ミステリなどよりもはるかに洗練されていると思います。

コメディ、ロマンス、ヒューマンドラマ、そしてちょっとミステリなど、いろんな要素がぎゅっと詰まったおもちゃ箱のような、楽しい作品です。

評価:★★★★

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2011.08.25

雨のトドロキ

等々力陸上競技場で、川崎フロンターレ対名古屋グランパスを観戦。

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昼間は晴れててすごく暑かったですが、試合が進むにつれてにわかに雨が降り出しました。

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2011.08.18

False Impression


False Impression
(108,000語 YL:6.5)

銀行家のFenstonは絵画のコレクター。欲しい絵を手に入れるためならば、絵画の所有者を破産に追い込んだり、殺害するのも厭わない。その彼がついにゴッホの名画「耳を切った自画像」を手中に収めようとしたとき、ニューヨークのワールドトレードセンターで同時多発テロが発生。関連する書類はセンター内の彼の事務所とともに無くなってしまう。一方、Fenstonが自画像の所有者Wentworthを破産に追い込もうとしていることに気づいた部下のAnnaは、それを阻止すべく混乱のニューヨークを抜けて自画像のあるロンドンへ向かう。果たして、名画は誰の手に渡るのか…?

1枚の名画をめぐるサスペンスです。タイトルの"False Impression"の通り、いろんな登場人物が正体を偽りながらストーリーが展開するところが、なかなか面白いですね。距離的には離れていても、お互いに相手の裏をかくような「駆け引き」が楽しめます。

賢く、大胆な女性が世界を巡りながら陰謀と対峙するというストーリー展開は、シドニィ・シェルダンの作品とテイストが似てるような気もします。英語も読みやすい部類にはいるでしょうし、シェルダンのファンにはお勧めできる作品です。

ちなみに、タイトルの"False Impression"は直訳すると、「誤った印象」という感じになると思いますが、おそらくダブルミーニングですね。作品に出てくるのがゴッホの自画像だから付けられるタイトルで、ピカソだったらきっとこのタイトルじゃないでしょうね。

評価:★★★

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2011.08.14

I love Guinness!

毎日暑いですねぇ。暑い時にはやっぱりビール!自分は最近までエビスを好んで飲んでいたのですが、アイルランドやイギリスに行って、ギネスビールをしこたま飲んでいるうちに、すっかりギネス好きになってしまいました。

日本じゃなかなか飲めないのかなぁ、と思っていたのですが、思いがけず近所のスーパーで売っているのを見つけて、思わず買ってしまいました。

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2011.08.13

時代を変えた科学者の名言


時代を変えた科学者の名言


人類の歴史の中で、偉大な発見や開発を成し遂げた人々の言葉を集めた本です。古くはピタゴラスなど紀元前の人から、ホーキング博士など今も活躍し続ける人まで、様々な人の名言が載っています。

やはり偉大なことを成し遂げた人達の言葉には重みがありますね。印象に残る名言が沢山載っていました。


「安全、危険は量次第。あらゆるものは毒である。あるものを無毒とするのは、その服用量のみによる。」(パラケルスス)

良いものと悪いものがあるのではなく、何事も「適量」が大切ということですね。


「発見のチャンスは、準備のできた者だけに微笑む」(パスツール)

やはり、ことを成し遂げるには準備が大切ですね。


「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」(エジソン)

これはもうお馴染みの名言ですね。でもエジソンは、次のようなことも言っています。

「最初のひらめきが良くなければ、いくら努力をしてもダメだ。」

努力すりゃあいいってもんじゃないってことですね。一生懸命考えて、素晴らしいアイディアを思いついたら、今度はそれを実現するために99倍努力しなさいということのようです。


「A=X+Y+Z。Aは成功、Xは仕事、Yは遊び、Zは沈黙である。」(アインシュタイン)

成功するためには仕事も遊びも両立するということかな。でも最後の「沈黙」っていうのは何を意味しているんだろう。自分自身でしっかり思索する時間を持つとか、成功してもそれを自慢せずに、謙虚であるということかな。


「科学技術の進歩はつねに危険と背中合わせだ。それを乗り越えてはじめて人類の未来に貢献できる。」(ノーベル)

この言葉を読むと、福島の原発事故のことを思い出さずにはいられません。我々は今直面している危機を乗り越えて未来へ向かうことができるのでしょうか?自分達は今、歴史上の重要な岐路に立っているようにも思います。


科学者、研究者など真理を探究する人には間違いなくお勧めの一冊です。でも、ビジネスマンや教育者など、様々な人達にとって役立つ名言が沢山載っているように思います。

評価:★★★★

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2011.08.03

The Undomestic Goddess


The Undomestic Goddess
(111,000語 YL:6.0)

Samanthaはケンブリッジ大学を卒業し、IQ158を誇る有能な若き弁護士。でも料理も洗濯も、家事は一切まるでダメ。そんな彼女はロンドンの超有名法律事務所とのパートナー契約まであと一歩というところまできていた。しかし、仕事で5,000万ポンド分もの大きなミスをしてしまう。失意とパニックで事務所を後にした彼女は、フラフラと列車に乗り込み、見知らぬ田舎にやってきた。そこの大きな邸宅に住む夫婦の勘違いで、Samanthaはその家の家政婦として働くことになってしまう。家事の全くできない彼女が、朝から晩まで家事に奮闘するうちに、次第に自分の心の変化に気づき始める…。

Shopaholicシリーズでおなじみ、Sophie Kinsellaのコメディ作品です。それにしても、「ドタバタキャリアウーマン」を描かせたら、Kinsellaの右に出る作家はいませんね。この作品でも、料理や洗濯で大混乱するSamanthaの姿が、まるでギャグマンガのような軽快なテンポで楽しめます。

さらに、単なるお笑いコメディにとどまらず、「キャリア(仕事)と人生において、本当に大切なこと」というテーマをきっちり描ききっているのが見事です。Samanthaは、小さい頃から描いていた高給取りの弁護士としての理想のキャリアと、家政婦としての穏やかで温かい生活との間で何度も何度も揺れ動きます。多くの人にとって、自分がするべき仕事は何か、自分の人生にとって何が一番大切なのかを選択することは、重要かつすごく難しい問題であると思います。でも、この作品を読んで、「自分にとって大切な人や、信頼できる人がそこにいるかどうか」ということが、とても重要な要素であることに気づかされました。

キャリアやワークライフバランスなどについて悩める女性には、間違いなくお勧めの一冊。

評価:★★★★

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