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2012.06.10

日本人の9割に英語はいらない


日本人の9割に英語はいらない

日本の英語教育に関する批判の本のようなのですが…、非常に理解に苦しむ本でした。

いろいろ納得する意見もある一方で、あまりに論理が飛躍しすぎていたり、二者択一的な視点が多すぎて、ついていけない部分が多かったです。例えば、英語を取り込むことが日本の文化破壊に繋がるとか、英語を勉強するのに時間を取られたらビジネスの経験が積めなくなるとか…。

一番残念だったのは、「楽天は…」とか「ユニクロは…」とか「ソニーは、パナソニックは…」という他の企業のことはたくさん書かれていたのに、著者自身が社長を務めたマイクロソフト社の事例がほとんどなかったことです。唯一、「マイクロソフトでも、部長クラスまではみな英語が下手だった」という事例が書かれていただけでした。例えば製品開発の現場でどうなっていたのかとか、シアトルの本社とのやり取りが必要だったのかどうかなど、一切語られていません。例えば、「自分がマイクロソフトの社長だった時には、社内の英語教育プログラムは無駄なので全て取りやめました」など、著者自身の主張と行動が繋がった記述があれば、すごく面白かったと思うのですが。

あと、著者がマイクロソフト社の社長だった時、「Microsoft Encarta インタラクティブ英会話」という英会話学習ソフトを発売していたそうです。

この製品が「本当に英語を必要としている1割の人」のために開発・販売されたとしたらよいのですが、その企業の社長が「頭の悪い人ほど英語の勉強をする」とか「英語ができてもバカはバカ」とか「(ユーザは)英語業界のカモ」考えていたとしたら、お金を払って製品を購入してくれるユーザに対して、本当に失礼な話だと思います。

あと、著者は「洋書をほとんど読まない」と言っていますが、「英語雑誌を月に4~5冊取り寄せて読んでいる」と述べています。おそらくは、著者自身の読書の中では、洋書が占める割合は高々数%であることで「洋書をほとんど読まない」と言っているのだと思います。ですが、おそらく絶対数で言うと、自分なんかはとうてい比べ物にならない膨大な分量の英文を読んでいるのではないかと推測しています。

「英語ができてもバカはバカ」と言いながら英会話学習ソフトを販売し、「海外の本は日本語(翻訳版)で読め」と言いながら週に1冊以上のペースで英雑誌を読む。一見、著者の主張と行動が一致していないように見える部分もあるので、なんとなく表面的に書いてあることを鵜呑みにしていたら、危険な本のような気がします。

評価:★★

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