Schindler's List
Schindler's List
(134,710語 YL:9.0)
第二次世界大戦下において、ドイツの占領下にあったポーランドで、1,300人ものユダヤ人の命を救ったドイツ人Oskar Schindler氏の活動を綴ったドキュメンタリーです。先日ポーランドでアウシュビッツ強制収容所を見てきた関係もあり、読んでみることにしました。
Schindler氏は実業家であったということで、始めは自分のビジネスのために従業員を守りたかっただけなのかと思いましたが、やはりそうではなかったようですね。彼自身も何度も逮捕され、また即座に命を奪われてもおかしくないような場面もあります。一人のユダヤ人を救うために多くの私財を投じることも少なくなく、ビジネスのためにやっていたのであれば、絶対に割が合いません。
彼の戦い方は様々ですが、ナチスの将校などに賄賂を贈ったりして、彼らにSchindler氏を生かしておくことが利益になると思わせるなど、人心を掌握するというのが主な方法です。他にはわざと粗悪な弾丸を作って人を殺せなくするなどというのもあります。ですが、根底にあるシンプルな法則は1つです。それは「一人でも多くの命を救うこと」。そのためにはあらゆる労力、出費、危険を惜しまないという真っ直ぐな姿勢にはただ驚くばかりです。しかも、終戦が近づき収容所のユダヤ人にも解放の時が迫ってきていても「私怨や復讐心から身勝手な行動をとるべきではない」と彼らを諭しています。彼はユダヤ人の味方で、ドイツを敵にしたのではなく、彼にとっては、ユダヤ人もドイツ人も、どちらの命も同じ重さであったのだと思います。
なお、英語のレベルは非常に高くて難解です。時折混ざるドイツ語はある程度意味が想像できるものもありますが、ほとんどは分かりません。また、様々な登場人物の証言をもとに構成されていることもあり、ストーリーの流れをつかむのも難しいです。個人的には理解度は5割くらいかもしれません。自分がこれまで読んできた洋書の中でも1、2を争う難解さの作品だったと思います。それでも、一度は読んでおくべき作品であると思いました。
評価:★★★★
| 固定リンク
コメント