The White Tiger
The White Tiger
(94,240語 YL:6.0)
「親愛なる中国の首相殿。私はインドの企業家です。今はシャンデリアのあるオフィスにいます。貧しい家に生まれました。そこからMr.Ashokの運転手として生活していました。そして今は指名手配されています。私はご主人様であるMr.Ashokを殺したのです…。」
インドの貧困層の男Balramの人生を描いたヒューマンドラマです。彼の姿を通して、インドの貧困やカーストによる差別という社会的な問題を克明に描いています。カーストによっては入ってはいけないショッピングモールがあったり、雇用主の妻が起こした交通死亡事故の肩代わりをさせられそうになったりなど、日本などではあまり考えられない理不尽な出来事がたくさん起こります。多くの人が現状を抜け出したいと思う中で、「殺人」という手段でそれを達成してしまうBalramの姿には、蓄積した恨みつらみが爆発する時の恐ろしさを感じてしまいます。
自分はインドには行ったことは無いのですが、「観光地じゃないインド」というのは、こんな姿なのかもしれないと思いながら読みました。ちなみに、本作品はThe Man Booker Prize 2008受賞作品だそうです。
評価:★★★
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