2020.01.05

Hello, Universe


Hello, Universe
(45,965語 YL:5.0)

弱気な少年Virgilは、気になる女の子Valenciaに声をかけることもできない。何とかしたいと思い、自称・霊能力者のKaoriの家に向かうVirgilだったが、森の中の井戸に入って出られなくなってしまう。Virgilはこのまま、誰にも見つからずに息絶えてしまうのか…?

特に親しい友達というわけでもない女の子達が、断片的な情報を頼りに、行方不明になった少年Virgilを探すというプロットはなかなかユニークです。ただ、物語の中心であるVirgil自身は井戸に落ちている状態が続くので、ちょっと物語の起伏に欠ける部分もあります。暗闇や恐怖と戦い、己を見つめなおす少年の姿に焦点を当てて楽しむのがいい作品なのかも。

評価:★★★

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2019.11.08

Still Alice


The Still Alice
(67,570語 YL:8.0)

Aliceは卓越した業績を持ち、皆から尊敬されるハーバード大学の教授。しかし最近物忘れが激しくなってきた。医者の診断を受けると、若年性アルツハイマーと診断される。悲しみに暮れる家族。戸惑う職場。徐々に記憶力が失われていく中で、歩んでいくAliceの人生とは…。

アルツハイマーを発症した1人の女性と、その周囲の人々の姿を描いた物語です。徐々に自己が失われていくこと、大切な人達のことを忘れてしまうこと、忘れられてしまうことの悲しさや苦しみが、リアリティを持って描かれています。自分や、自分の大切な人が同じ立場に立ったらどうするのだろうと、考えさせられる作品です。

評価:★★★

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2019.10.11

The Tattooist of Auschwitz


The Tattooist of Auschwitz
(64,670語 YL:7.0)

アウシュビッツ強制収容所に収容されたLaleは、収容者の腕に識別番号を彫る、タトゥー職人としての仕事をナチスから任される。彼は自らが番号を刻んだ若い女性Gitaに一目惚れをする。ナチスに認められ、多少の自由がきくLaleは、監視員に賄賂を渡したりしてGitaと会う機会を作る。明日の運命も分からない状況で、二人は次第に愛を育んでいく…。

ナチス収容所の収容者同士の恋愛を描いた物語です。実話に基づく物語だけあって、過酷な収容所の状況が克明に描写されています。目の前で多くの人々が残忍な方法で命を奪われ、幸せな未来を描くのが難しい状況でも愛し合う二人の姿が印象的です。ギリギリのところで難を逃れて、生き延びる二人に奇跡や運命を感じずにはいられません。

評価:★★★★

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2018.09.06

Less


Less
(72,065語 YL:9.0)

Arthur Lessは中年のゲイ作家。彼の元に、長年付き合って別れた元恋人Freddyから結婚式への招待状が届く。結婚式に出たくないLessは、出席を断る口実として、世界中からの様々な仕事のオファーを全て受け入れることにした。いろんな国を飛び回りながらも、Lessは結婚式を迎えるFreddyに思いを馳せる…。

旅する傷心の独身中年ゲイ男性の悲哀を描いた作品です。いろんなトラブルがある中でも賞を受賞したり、愛人(?)を作ったりするなどのドラマがあります。いろんなイベントに右往左往するLessを喜劇的に描いた作品かもしれないけど、ちょっと自分のテイストには合わなかったみたい。文章もかなり難し目。

評価:★★

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2016.09.11

Small Steps


Small Steps
(48,074語 YL:5.5)

更生施設から出てきたArmpitは、配管工の仕事をしながら学校に通い、少しずつ生活を改善しようとしていた。その時、友人のX-Rayが、人気シンガーのコンサートチケット転売でボロ儲けを企み、Armpitにも協力をもちかける。しぶしぶながらも転売に加担したArmpitだったが、そのチケットが彼の人生を思わぬ方向に向かわせることになる…。

ルイス・サッカーのHolesの続編です。地道で穏やかに生きようとする少年の、ドラマチック過ぎる人生のイベントを描きます。主人公のArmpitは自分から動くというよりも、周りの状況に流されているだけかもしれませんが、とりあえずしっかり地に足をつけて進んでいこうという彼の姿勢は素晴らしいです。

評価:★★★

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2016.02.23

Wonder


Wonder
(73,053語 YL:5.5)

病気で生まれつき醜いAugustは学校に行かずに自宅で勉強していたが、5年生として初めて学校に行くことになった。周囲から驚かれ、疎まれる中で、少しずつ友達もできてきた。しかし親友だと思っていたJackに陰口を言われているのを聞いてしまし、Augustは大きなショックを受けてしまう…。

先天的に醜い一人の少年の学校生活を描いた物語です。容姿だとか、他人にどう思われているだとか、友達が多いとか人気があるだとか、そういうことに非常に敏感な10代前半の子供達の様子をよく描いています。どうしても目立ってしまうAugustの存在は、周囲の子供達にもいろんな感情を引き起こします。「Augustは付き合ってみるとなかなか面白い奴」ということを見抜けた子供達は、だんだんと彼の友達になっていきます。ありきたりではありますが、人を見た目で判断せずに、その人の行動とか気持ちとかに目を向けることの大切さを教えてくれます。

評価:★★★

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2016.01.17

Life After Life


Life After Life
(168,640語 YL:9.0)

ある雪の日に生まれた女の子Ursulaは、生後間もなく息を引きとってしまった。しかし彼女は全く同じ日に同じ状況で生まれ変わり、今度は生き延びる。しかし数年後に別の事故で死んでしまう。そしてまた生まれ変わり、別の人生を繰り返す。前世での「反省」を糧に、彼女が選択する「最善の人生」の結末は…?

何度も同じ状況で生まれ変わる女性の姿を描いたちょっと不思議なヒューマンドラマです。「もしあの時、別の選択をしていれば、自分の人生は大きく変わっていたかもしれない」というのは誰しもが一度は考えそうなことですが、この作品では、ちょっとした出来事や判断・選択によって人生が大きく変わる様子が、輪廻転生する女性Ursulaを通して描かれています。

Ursulaは前世の記憶をうっすらと持っているため、前回とは違う選択をするのですが、それでもなかなか幸せな結末にはたどり着けません。先の見えない人生における選択の重要性や、そんな人間をあざ笑うかのような偶然の残酷さを感じずにはいられません。戦争中のような、ほんのわずかの差が生死を分けるような場面ではなおさらです。一度きりの人生を大事に生きないといけないと感じさせてくれる一冊です。

評価:★★★★

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2015.10.11

Redeployment


Redeployment
(94,240語 YL:9.0)

戦争に関わる様々な米国人の姿を描いたオムニバスです。戦争の物語というと、前線で銃を持って戦う人々が主役である場合が多いのですが、この作品では少し別の役割を持っている人が多く出てきます。

慣習の異なるイラクの人々との交渉や、「イラクの子供達にベースボールをやらせろ」という本国からの無茶ぶりに対応する復興担当者。戦士した兵士に賞を与えるための書類を書く事務員。敵に対して侮辱的な言葉を使うことで敵を誘い出す心理作戦担当者…。個人的に一番印象に残ったのは、従軍牧師のストーリーです。常に死と隣り合わせという極限状態の兵士が精神的に病んでいく中で、彼らを救うことができない従軍牧師の苦悩は胸に刺さるものがあります。

この本では、現代の戦争における、今まであまり描かれてこなかった部分を見ることができます。「実話である」とは書いていないのですが、著者がイラクに従軍した経験や、彼が取材した関係者の実体験に基づく、真実味のあるストーリーであることは容易に想像できます。社会的にも戦争に関する議論が絶えない今日において、多くの人に読んでもらいたい本です。

評価:★★★★

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2015.07.08

The White Tiger


The White Tiger
(94,240語 YL:6.0)

「親愛なる中国の首相殿。私はインドの企業家です。今はシャンデリアのあるオフィスにいます。貧しい家に生まれました。そこからMr.Ashokの運転手として生活していました。そして今は指名手配されています。私はご主人様であるMr.Ashokを殺したのです…。」

インドの貧困層の男Balramの人生を描いたヒューマンドラマです。彼の姿を通して、インドの貧困やカーストによる差別という社会的な問題を克明に描いています。カーストによっては入ってはいけないショッピングモールがあったり、雇用主の妻が起こした交通死亡事故の肩代わりをさせられそうになったりなど、日本などではあまり考えられない理不尽な出来事がたくさん起こります。多くの人が現状を抜け出したいと思う中で、「殺人」という手段でそれを達成してしまうBalramの姿には、蓄積した恨みつらみが爆発する時の恐ろしさを感じてしまいます。

自分はインドには行ったことは無いのですが、「観光地じゃないインド」というのは、こんな姿なのかもしれないと思いながら読みました。ちなみに、本作品はThe Man Booker Prize 2008受賞作品だそうです。

評価:★★★

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2014.08.14

Dead End in Norvelt


Dead End in Norvelt
(73,684語 YL:6.0)

小さな町Norveltに住むJackは、父の指示により母が大切にしていたトウモロコシ畑を刈り取ってしまい、怒った母から外出禁止を言い渡される。Jackが外出を許されるのは、Volkerさんが新聞向けの「お悔やみ」を書くのを手伝いに行くときだけ。しかし最近、Norveltが最初にできた時の住人達が次々と亡くなっていき、Volkerさんの手伝いも忙しくなる。でも、みんな本当に自然死なのかなぁ…。

著者Jack Gantosの半自叙伝的な作品だそうです。実際に彼が子供の頃に体験したことなども織り交ぜながら書いているのだと思います。各エピソードには面白い部分もあるのですが、ストーリー展開が散漫で、物語が行き当たりばったりでフラフラと進行しているように見えます。ヒューマンドラマのようで、ミステリのようで、コメディのようにも見えるけど、そのどれでもないような、ちょっとよく分からない印象です。

2012年のNewbery賞受賞作ということなのですが、個人的には期待外れで、賞に選ばれるような作品には思えませんでした。

評価:★★

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