2017.04.01

Happiness: Lessons From A New Science


Happiness: Lessons From A New Science
(47,000語 YL:7.0)

人はどうしたら幸せになれるのか…ではなく、人はどのような状況で幸福感や不幸感を感じるのかを、多角的に分析した本です。言うなれば「幸福感の統計学/生理学/経済学/社会学」という感じでしょうか。

この本では様々な要素が議論されていますが、「自分が周りの人よりも恵まれていないと不幸に感じる」という感じで、結局は相対的な問題が大きいようですね。だから、50年前と比較すると、所得は増えてるし、世の中はどんどん便利になっているのだけど、それは自分も周りも条件は同じなので、幸福感は必ずしも増えていないという感じです。
あと、人々のモビリティが向上すると、いろんなタイプの人が交流するようになるのだけど、それでコミュニティが破壊されることに不安を感じる人が多くなると述べています。10年前の本ですが、現在の世界の保護主義的な動きを予言しているようにも見えます。

一番ためになった教訓は「人間は幸福感と不幸感を同時に感じることはできないので、日々幸せを見つけられれば不幸感はなくなる」というところですね。当たり前のような気もするけど、「不幸だからネガティブになる」という考えから「ネガティブに考えるから不幸感が増す」という考えに切り替えて、ポジティブに生きていきたいものです。

評価:★★★

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2016.02.02

The Decline and Fall of IBM: End of an American Icon?


The Decline and Fall of IBM: End of an American Icon?
(50,000語 YL:7.0)

世界有数のIT企業であるIBMの凋落ぶりを綴ったドキュメンタリーです。株価の維持を最優先事項とし、そのためには大規模なレイオフや売上の減少、顧客満足度の低下をも厭わないIBMの姿勢を批判しています。

興味深かったのは、IBMのマネジメントに何層ものレイヤができて、意思疎通や意思決定が遅くなったことに対して、著者が「官僚的で日本的」と述べていたことです(悪い意味でですね)。日本企業も、IBMの失敗から学び取らねばならないことも多そうです。

IBMの社員や元社員によるコメントも多数掲載されています。印象に残ったのは、米国から仕事をアウトソースした先の国(インドなど)のIBM従業員の言葉でした。彼らは自分達が仕事を得る反面、米国の従業員が多数解雇されている状況を好ましいとは思っていないようです。IBMはやはり米国の本社が中心なので、そこが傾いたり縮小が続いたら、オフショア先だって安全ではないと危機感を募らせています。

外からは見えない米国企業の一面を教えてくれる貴重な一冊だと思います。

評価:★★★★

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2015.09.23

How Google Works ― 私たちの働き方とマネジメント


How Google Works ― 私たちの働き方とマネジメント

グーグル会長で前CEOであるエリック・シュミットによるグーグル流ビジネスの解説本です。従来のやり方が全て覆されるような会社で、彼らが従来の考え方を捨て、どのように会社を発展させていったかを知ることができます。話題は、企業のカルチャーや採用、コミュニケーションなど多岐にわたります。

グーグルの基本的なアプローチは才能に満ち溢れたスマート・クリエイティブ達を引き付け、彼らに自由を与える。そして高い目標にチャレンジさせて、失敗からも学ぶようなカルチャーを醸成する。当たり前のようなアプローチにも感じますが、採用人数や就職活動時期などに対して非常に制約の多い日本企業には難しいやり方かもしれません。あと、海外のスマート・クリエイティブがわざわざ日本語を勉強して日本で仕事をするよりは、日本のスマート・クリエイティブが英語を勉強して海外に出ていくことの方が多いでしょうしね。

やはり、グーグルのようなイノベーティブな企業からは、学ぶべきところが沢山あるように思いました。スマート・クリエイティブにはなれなくても、自分の普段の行動や考え方に生かせるようなヒントが沢山あるように思います。とりあえず自分は、できる範囲のことを精いっぱいやるだけでなく、もうちょっとドラスティックな目標を掲げられるようになりたいですね。仕事でも何でも。

評価:★★★★

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2014.09.11

Creating Innovators: The Making of Young People Who Will Change the World


Creating Innovators: The Making of Young People Who Will Change the World
(87,000語 YL:7.0)

イノベーションを起こしてきた人達の境遇を調査した本です。オフショアなどの労働力シフトに負けない経済を作り出すためには、イノベーションによる経済、社会の発展が必要不可欠であるとし、イノベーションを起こす人の「育て方」を探るのが本書の目的です。もちろんイノベーターの姿も多種多様なのですが、最大公約数的な要素として、以下のようなものを挙げています。

(1) 3つのP

Play: 遊び、楽しむ段階
Passion: 真剣になり、夢中になる段階
Purpose: 目的を持って行動する段階

何か世界を変える大きな目標(purpose)を持つためには、自由に遊び(play)、試行錯誤していくことが重要であるということらしいです。

(2) イノベーションに重要な3要素

Expertise: 専門知識
Motivation: 動機
Creative thinking: 独創的な考え方

確かに、このうちのどれが欠けてもイノベーションは起こりにくくなるように思います。例えば、難問に立ち向かう情熱(motivation)や知識(expertise)が十分にあっても、考え方が凡庸だと、問題解決につながりにくいように見えます。さらに付け加えると、専門知識は複数領域(interdisciplinary)であること、動機は外から与えられるものではなく、自分の内から湧き出る動機(internal motivation)が重要であるとしています。

そして、クリエイティブな人を育てるためには、本や座学で知識を叩き込むのではなく小さいころから失敗を許容し、様々なトライを積み重ね、行動によって知識や経験を会得するという姿勢を持たせる教育環境が重要であると説いています。この本に出てくるクリエイターの両親や先生たちも、人を育てるのに様々な苦労をしています。リスクも負います。それでも、多くの人達が「自分達が20世紀に受けてきた教育方法を、21世紀を生きる子供達にそのまま当てはめるのは間違っている」と感じているようです。

教育に携わる人達には是非一読してほしい書籍です。面接やペーパーテストで良い点数を取れる人間ではなく、社会に出て本当に活躍できる人を育てるためのヒントになる要素がいろいろ詰まっている一冊です。

評価:★★★★

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2011.02.08

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら


もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

「野球部を甲子園に連れていく」という決意のもとに、野球部のマネジャーになった川島みなみ。そんな彼女が全くの勘違いで、本屋でドラッカーの「マネジメント」を購入してしまう。しかし、彼女は次第にこの本が野球部の「マネジメント」にも大いに役立ちそうだと感じはじめる。そして、「マネジメント」をもとにした彼女の行動が、野球部を少しずつ変えていく…。

遅ればせながら、ベストセラーの「もしドラ」を読んでみました。「萌え+スポ根+ビジネス」という組み合わせは新鮮ですね。さすがにAKB48のプロデュースやバラエティー番組を手掛け、エンターテイメントの一線にいる作者ならではといったところでしょうか。

単にストーリーを楽しむ小説として読んだ場合は、ツッコミどころも多々あると思います。文章が説明的すぎてちょっとドライな感じもするし、キャラクターが単にドラッカーの言葉をうまく説明するための「駒」にすぎないように感じるところもあります。「そんなにやることなすことうまくいくわけないだろう」だとか「オチが予定調和的」だとか、挙げ始めたらきりがないと思います。

でもこの作品の偉いところは、ドラッカーの言葉が、自分の目標や直面している問題に対してどのように役立てることができるのかを、高校野球という「ケーススタディ」を通して、分かりやすく読者に示したことにあると思います。そこの芯の部分がしっかりしているので、多少の欠点は大目に見ることができます。「分かりやすさ」は何者にも勝るという好例だと思います。

それにしても、ドラッカーの言葉には、読んでいてドキッとするものも多々ありますね。「失敗しない者は、見せかけか、下らないことにしか手をつけない者である」とか「イノベーション戦略の一歩は、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである」などが特に印象に残りました。

評価:★★★★

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2010.03.03

One Minute Sales Person


One Minute Sales Person
(18,129語 YL:4.0)

"Who Moved My Cheese?"の著者による、セールスの「秘訣」を短時間で学ぶためのビジネス書です。「相手の立場になって考える」とか「アフターケアはきちんと」「クレームはチャンスと考える」等、基本的な事項がメインですが、面白くて実践的なTipsもたくさん載っていて、非常にためになります。

例えば、「自分の墓標に何と書いて欲しいか」を想像することで、自分の大切にしている目標を知ることができると述べています。バリバリのセールスパーソンでも、もしかしたら「○○億円の売り上げを達成し、会社の業績に大きく貢献した」と書かれるよりも「5人の子供をたくましく育てた立派な父親(母親)」と書かれた方が嬉しい人もいるでしょうね。

個人的に気に入っているTipsは、「自分のゴールを想像する時には、自分の実現したいことや、その時の気持ちを具体的に、あたかも既に実現しているように現在進行形で記述する」というものです。例えば、「英語がペラペラになりたいなぁ」と漠然と思うのではなく、「来年の10月、自分はロンドンに留学で滞在している。朝、地下鉄で学校に向かう間、今日の数学の授業に使うテキストに目を向けている。学校の授業には最初はついていけなかったけれども、今日の先生の話はいつも分かりやすいのでとても楽しみだ…。」という感じです。何だかこうやって具体的に思い描いているだけで、既に半分くらい実現している気分(笑)。

あと「自分が自分を好きになることが大切」と説いています。他人に物を売り込むよりも、まず「自分の良さを自分に売り込めるようにならなきゃ」という意見には、なるほどなぁ、と感心するところがありますね。

文量もそんなに多くないですし、平易な会話形式で書かれており、スラスラと読んでいくことができます。セールスの場だけではなく、自分の目標達成や良い対人関係の構築などに役立ちそうなので、万人にオススメです。

評価:★★★★

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2010.02.17

Fooled by Randomness: The Hidden Role of Chance in Life and in the Markets


Fooled by Randomness
(89,000語 YL:9.0)

株式市場や投資家を題材に、ランダムな事象やそれに影響を受ける人々の心理について述べたビジネス書です。モンテカルロシミュレーション等の数学的な道具を使っていますが、小難しい数式や理論はほとんど無く、読み物として楽しめるようになっています。(英語はちょっと難しめですけど)

人は成功すると、それを自分の能力のせいだとして、失敗すると偶然のせいにするのだそうです。長年利益を出し続けたトレーダー達が急激な市況の変動で大損失を被った場合、口をそろえて「俺の理論は間違っていなかった。今回はたまたま運が悪かっただけだ」と言うらしいです。(決して今までの成功が偶然だったとは考えない)

ですが、株式市場へ参加する投資家の数が膨大であれば、そのうちの何人かが「たまたま偶然」大儲けをしても、それは確率的に全く不思議ではないことを指摘しています。

だからと言って「大儲けしている奴らは全員運がいいだけだ。能力なんて関係ない」というわけではないとも著者は指摘しています。「成功している間は、それが能力によるものなのか、偶然の産物なのかは判別できない」と、とても論理的に述べています。


この本を読むと、

「10年間無敗の最強トレーダー」に、老後の安定した生活のための資金の運用を任せていいのかどうか

とか、

「半年間で○億円稼いだカリスマ主婦の投資法」を真似してもいいものかどうか

とか、

よく当たると評判の占い師が、「ライブドアの株価は今後5倍に上がる」とテレビで言っていたが、信用して株を買ってよいものかどうか

とか、

「検察は私を不起訴にしました。つまり私の潔白が証明されたということです」と自信たっぷりに話す幹事長の言葉を信用していいのかどうか

などの問題に直面した際に、確率的、論理的な面から的確な判断を下すヒントをいくつも見つけることができると思います。


さらに特筆すべきことは、この本が、単にウォール街の強欲トレーダーが確率に踊らされて地獄に落ちるのを嘲笑することを目的にしているのではないことです。そればかりか、感情で動く人間(読者やこの本の著者自身も含む)や動物達は、過去の経験に縛られたり、意味の無いものに(後付けで)意味を見出そうとする習性から抜け出せないことを指摘しています。確かに、確率的な観点からすれば、我々が宝くじを買ったり、星占いをチェックしたり、ゲンを担いだりするのは、無意味で愚かな行為のように思われます。

それでは、私達はただ確率の荒波に身を任せるだけで、何もできないのでしょうか。そんな疑問を持つ読者に対して、著者はこんなメッセージを贈っています。

「幸運の女神が操作できないのは、あなたの行動だけなのです。Good luck。」

"A Finantial Times best business book of the year"という称号はダテではないですね。株式トレーダーになりたい人や、これから経済学を専攻しようとする学生さんは必読です。

評価:★★★★★

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