Distributed Teams
(83,750語 YL:7.0)
リモートワークで働く人々のチームをマネージメントするための指南書。地域に縛られずに優秀な人材を獲得できる等のメリットや、リモートとオンサイトの人材を公平に扱う等の注意点を紹介。リモートではおろそかになりやすい情報共有とコミュニケーションを丁寧に行うことが重要。
評価:★★★
(83,750語 YL:7.0)
リモートワークで働く人々のチームをマネージメントするための指南書。地域に縛られずに優秀な人材を獲得できる等のメリットや、リモートとオンサイトの人材を公平に扱う等の注意点を紹介。リモートではおろそかになりやすい情報共有とコミュニケーションを丁寧に行うことが重要。
評価:★★★
Grit: The Power of Passion and Perseverance
(81,490語 YL:8.0)
人生における幸福や成功に重要なgrit(やりぬく力)について説いた本です。著者は、gritは情熱(passion)と根気(perseverance)によって成り立っていると分析し、自分がgritを注ぎ込める対象を見つけることで、人々は天職(calling)や生き甲斐にたどり着けると述べています。
「スキル = 才能 × 努力」かつ「成功 = スキル × 努力」だとしたら、成功において努力は才能の二乗分くらい重要であるとか、gritが個人的な夢や欲求だけでなく、それが社会的な意義や他者の幸せにつながる時に、さらにgritは高まるなど、様々な視点からgritの重要性を述べています。他者のgritを高める方法(暖かく支援しながら高い目標に向けて応援すること)などについても述べられており、組織のマネージャーや教育者にもお勧めです。
自分がgritのことを考えて、思い浮かべる人物は三浦カズ選手ですね。選手としてピークを過ぎて、以前のような活躍はもう望めないのは明らかだし、試合にもなかなか出られないし、批判されることも多く、思い通りにいかないことがたくさんあると想像しています。それでも「もっとうまくなりたい、もっとサッカーを楽しみたい」という情熱をずっと持ち続けて、50歳を超えてもまるでルーキーのようにボールを追いかけています。そんな彼の"grit"に人々は魅了されるのかもしれないと思います。
評価:★★★★
Shoe Dog: A Memoir by the Creator of NIKE
(116,145語 YL:8.0)
ナイキ創業者の回顧録。起業家の書籍というと、真面目で堅苦しいビジネス書籍のようなものを想像しますが、この本は全然違って、繰り広げられるのは人間ドラマです。
オニツカタイガーとの出会いと確執、ギリギリの借金を重ねながらの会社の急拡大、そして米国政府との戦いなど、様々なドラマが展開されます。どんな苦境に立たされても、決して諦めることなく、シューズへの情熱を武器にひたすら走り続けるPhilの姿には感銘を受けます。今でこそスポーツビジネス界を支配しているかのような同社ですが、その根底に流れるのは、倒産寸前の小さな会社だったころからの「スポーツで世界を変えたい」という理念だったということが分かります。
今までナイキはそんなに好きなブランドというわけではなかったけど、この本を読んでからちょっとファンになりました。
評価:★★★★★
Radical Candor
(98,165語 YL:8.0)
GoogleやAppleを含め、様々な職場でマネジメントを経験した著者のマネジメント指南書。良い組織を作り上げるには、お互いがリスペクトしながら率直な意見を言い合える職場を作るべきと説いています。相手の感情を尊重するあまり、重要な指摘をせずに逃げてしまうことは、相手の成長や気づきの機会を奪う行為であり、かえって相手のためにならないと述べています。
「マネジャー自らが率先して部下から批判をもらうべし」とか、なかなか実行が難しいこともありますが、組織マネジメントのヒントになりそうなことがたくさん書かれています。多くのマネジャーに読んでもらいたい一冊。
評価:★★★★
Happiness: Lessons From A New Science
(47,000語 YL:7.0)
人はどうしたら幸せになれるのか…ではなく、人はどのような状況で幸福感や不幸感を感じるのかを、多角的に分析した本です。言うなれば「幸福感の統計学/生理学/経済学/社会学」という感じでしょうか。
この本では様々な要素が議論されていますが、「自分が周りの人よりも恵まれていないと不幸に感じる」という感じで、結局は相対的な問題が大きいようですね。だから、50年前と比較すると、所得は増えてるし、世の中はどんどん便利になっているのだけど、それは自分も周りも条件は同じなので、幸福感は必ずしも増えていないという感じです。
あと、人々のモビリティが向上すると、いろんなタイプの人が交流するようになるのだけど、それでコミュニティが破壊されることに不安を感じる人が多くなると述べています。10年前の本ですが、現在の世界の保護主義的な動きを予言しているようにも見えます。
一番ためになった教訓は「人間は幸福感と不幸感を同時に感じることはできないので、日々幸せを見つけられれば不幸感はなくなる」というところですね。当たり前のような気もするけど、「不幸だからネガティブになる」という考えから「ネガティブに考えるから不幸感が増す」という考えに切り替えて、ポジティブに生きていきたいものです。
評価:★★★
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The Decline and Fall of IBM: End of an American Icon?
(50,000語 YL:7.0)
世界有数のIT企業であるIBMの凋落ぶりを綴ったドキュメンタリーです。株価の維持を最優先事項とし、そのためには大規模なレイオフや売上の減少、顧客満足度の低下をも厭わないIBMの姿勢を批判しています。
興味深かったのは、IBMのマネジメントに何層ものレイヤができて、意思疎通や意思決定が遅くなったことに対して、著者が「官僚的で日本的」と述べていたことです(悪い意味でですね)。日本企業も、IBMの失敗から学び取らねばならないことも多そうです。
IBMの社員や元社員によるコメントも多数掲載されています。印象に残ったのは、米国から仕事をアウトソースした先の国(インドなど)のIBM従業員の言葉でした。彼らは自分達が仕事を得る反面、米国の従業員が多数解雇されている状況を好ましいとは思っていないようです。IBMはやはり米国の本社が中心なので、そこが傾いたり縮小が続いたら、オフショア先だって安全ではないと危機感を募らせています。
外からは見えない米国企業の一面を教えてくれる貴重な一冊だと思います。
評価:★★★★
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How Google Works ― 私たちの働き方とマネジメント
グーグル会長で前CEOであるエリック・シュミットによるグーグル流ビジネスの解説本です。従来のやり方が全て覆されるような会社で、彼らが従来の考え方を捨て、どのように会社を発展させていったかを知ることができます。話題は、企業のカルチャーや採用、コミュニケーションなど多岐にわたります。
グーグルの基本的なアプローチは才能に満ち溢れたスマート・クリエイティブ達を引き付け、彼らに自由を与える。そして高い目標にチャレンジさせて、失敗からも学ぶようなカルチャーを醸成する。当たり前のようなアプローチにも感じますが、採用人数や就職活動時期などに対して非常に制約の多い日本企業には難しいやり方かもしれません。あと、海外のスマート・クリエイティブがわざわざ日本語を勉強して日本で仕事をするよりは、日本のスマート・クリエイティブが英語を勉強して海外に出ていくことの方が多いでしょうしね。
やはり、グーグルのようなイノベーティブな企業からは、学ぶべきところが沢山あるように思いました。スマート・クリエイティブにはなれなくても、自分の普段の行動や考え方に生かせるようなヒントが沢山あるように思います。とりあえず自分は、できる範囲のことを精いっぱいやるだけでなく、もうちょっとドラスティックな目標を掲げられるようになりたいですね。仕事でも何でも。
評価:★★★★
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Creating Innovators: The Making of Young People Who Will Change the World
(87,000語 YL:7.0)
イノベーションを起こしてきた人達の境遇を調査した本です。オフショアなどの労働力シフトに負けない経済を作り出すためには、イノベーションによる経済、社会の発展が必要不可欠であるとし、イノベーションを起こす人の「育て方」を探るのが本書の目的です。もちろんイノベーターの姿も多種多様なのですが、最大公約数的な要素として、以下のようなものを挙げています。
(1) 3つのP
Play: 遊び、楽しむ段階
Passion: 真剣になり、夢中になる段階
Purpose: 目的を持って行動する段階
何か世界を変える大きな目標(purpose)を持つためには、自由に遊び(play)、試行錯誤していくことが重要であるということらしいです。
(2) イノベーションに重要な3要素
Expertise: 専門知識
Motivation: 動機
Creative thinking: 独創的な考え方
確かに、このうちのどれが欠けてもイノベーションは起こりにくくなるように思います。例えば、難問に立ち向かう情熱(motivation)や知識(expertise)が十分にあっても、考え方が凡庸だと、問題解決につながりにくいように見えます。さらに付け加えると、専門知識は複数領域(interdisciplinary)であること、動機は外から与えられるものではなく、自分の内から湧き出る動機(internal motivation)が重要であるとしています。
そして、クリエイティブな人を育てるためには、本や座学で知識を叩き込むのではなく小さいころから失敗を許容し、様々なトライを積み重ね、行動によって知識や経験を会得するという姿勢を持たせる教育環境が重要であると説いています。この本に出てくるクリエイターの両親や先生たちも、人を育てるのに様々な苦労をしています。リスクも負います。それでも、多くの人達が「自分達が20世紀に受けてきた教育方法を、21世紀を生きる子供達にそのまま当てはめるのは間違っている」と感じているようです。
教育に携わる人達には是非一読してほしい書籍です。面接やペーパーテストで良い点数を取れる人間ではなく、社会に出て本当に活躍できる人を育てるためのヒントになる要素がいろいろ詰まっている一冊です。
評価:★★★★
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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
「野球部を甲子園に連れていく」という決意のもとに、野球部のマネジャーになった川島みなみ。そんな彼女が全くの勘違いで、本屋でドラッカーの「マネジメント」を購入してしまう。しかし、彼女は次第にこの本が野球部の「マネジメント」にも大いに役立ちそうだと感じはじめる。そして、「マネジメント」をもとにした彼女の行動が、野球部を少しずつ変えていく…。
遅ればせながら、ベストセラーの「もしドラ」を読んでみました。「萌え+スポ根+ビジネス」という組み合わせは新鮮ですね。さすがにAKB48のプロデュースやバラエティー番組を手掛け、エンターテイメントの一線にいる作者ならではといったところでしょうか。
単にストーリーを楽しむ小説として読んだ場合は、ツッコミどころも多々あると思います。文章が説明的すぎてちょっとドライな感じもするし、キャラクターが単にドラッカーの言葉をうまく説明するための「駒」にすぎないように感じるところもあります。「そんなにやることなすことうまくいくわけないだろう」だとか「オチが予定調和的」だとか、挙げ始めたらきりがないと思います。
でもこの作品の偉いところは、ドラッカーの言葉が、自分の目標や直面している問題に対してどのように役立てることができるのかを、高校野球という「ケーススタディ」を通して、分かりやすく読者に示したことにあると思います。そこの芯の部分がしっかりしているので、多少の欠点は大目に見ることができます。「分かりやすさ」は何者にも勝るという好例だと思います。
それにしても、ドラッカーの言葉には、読んでいてドキッとするものも多々ありますね。「失敗しない者は、見せかけか、下らないことにしか手をつけない者である」とか「イノベーション戦略の一歩は、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである」などが特に印象に残りました。
評価:★★★★
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